Advertisement
Advertisement
大学・学部選びにおいて、今後の倍率や難易度を見通す材料の一つとなるのが「人気度」の変化です。志望動向の推移を追うことで、どの分野が伸び、どの分野が相対的に勢いを失っているのかが見えてきます。近年のデータをもとに、ここ5年間の学部系統の動きを読み解くと、興味深い傾向が浮かび上がります。
ある進学指導の現場では、模試の志望データを基に、2020年を指数100として2025年までの志望動向を比較しました。対象は主に国公立大学の前期日程で、情報系のみは2022年を基準としています。
全体を俯瞰すると、極端な落ち込みは見られません。上下の変動はおおむね1割前後にとどまっています。ただし、分野別に見ると明暗は分かれています。工学系は緩やかな減少傾向が続き、人文系・社会系・国際系は2023年にかけて一時的に落ち込み、その後の回復も限定的です。一方で理学系は堅調に推移し、情報系は例外的に大きく伸びています。
情報系の拡大は、学部や学科の新設・再編が進んだことも背景にあります。受験生の関心が高まっただけでなく、受け皿そのものが増えたことが志望者増加につながっています。理系人材全体が急増したというよりも、従来は工学系に含まれていた情報分野が独立し、志望先が分散したと見ることもできます。その結果、工学系の指数が相対的に下がって見える側面もあります。
2020年前後に人気を集めていたのは、工学部、国際・グローバル系、そして総合・学際・環境系でした。いずれも「実践的」「就職に有利そう」「将来の選択肢が広い」といったイメージが先行していた分野です。しかしその後、評価はやや落ち着きました。
学際系については、内容の具体性が志望者に十分伝わらなかった可能性があります。数理や統計を本格的に扱う情報分野が支持を集める一方で、名称が先行し中身が見えにくい学部は伸び悩みやすいという指摘もあります。環境系や総合系も同様に、学問領域の輪郭が曖昧だと敬遠されやすい傾向があります。
国際系の人気が落ち着いた理由としては、コロナ禍前の過熱感の反動に加え、社会環境の変化が挙げられます。AI技術の進展により語学スキルの価値の捉え方が変わりつつあることや、高校段階で探究学習が広がったことで、進学先に求める専門性への視線がより厳しくなったことも影響していると考えられます。
今後、特に動向が注目される大学のタイプもあります。地方にある非情報系の工学部は、都市部志向や情報系志向の強まりの影響を受けやすいとみられています。ただし、地域に根ざした産業やインフラ分野では引き続き一定の需要が見込まれ、土木や建築などは社会的必要性がむしろ高まる可能性もあります。
また、国際系を前面に打ち出す私立大学は、他分野との差別化が課題になるかもしれません。大学全体として強い特色を持つケースは別として、「国際」という名称だけでは選ばれにくくなる可能性も指摘されています。
さらに、文系寄りの情報・学際系も分かれ目に立たされています。情報系全体は伸びていますが、専門性が曖昧なプログラムは上位校以外で厳しい状況になる可能性があります。学際系は教育体制の整備に負担がかかるため、大学間で質の差が生じやすい構造的な課題も抱えています。今後は学部再編や統合が進むことも想定されます。
もっとも、これらはあくまで「人気」の動きであり、学問の価値そのものを示すものではありません。国立大学に限れば大幅な凋落は見られず、変動も比較的緩やかです。受験生にとって重要なのは、流行に左右されすぎず、自身の関心や適性を踏まえて進路を選ぶことです。
志望動向の変化は参考材料の一つにすぎません。人気の上昇・下降を冷静に受け止めつつ、自分にとって納得のいく学部・学科選びをすることが、これからの進学戦略ではより重要になりそうです。
Advertisement
Advertisement
Advertisement

