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「中古車のアタリ・ハズレは当然ある」整備工場の代表者が語った

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「中古車のアタリ・ハズレは当然ある」

 目当ての車種の中古車を購入する際、「走行距離」「修復歴の有無」などが最もわかりやすい指標になるでしょう。それでも中古車ユーザーの間ではよく「走行距離10万km超えの中古車だったのに全然壊れない。アタリだった」「走行距離が少ない状態で買ったのに修理ばっかり。ハズレだった」という会話を交わすことがあります。 こういった、やや漠然とした印象もある「中古車のアタリ・ハズレ」について、半世紀以上にわたり世界中のクルマの修理を行ってきた富士自動車工業(東京都世田谷区)の代表・春日直樹さんに聞きました。

「結論から言うと『中古車のアタリ・ハズレ』は当然あります。言い換えれば、『ある程度年数が経っているのに、動かしていなかった時間が長かった』クルマは壊れやすいです。クルマは動かすことが基本にできている機械モノですから、動かしていないとダメになりやすいです。

 では『過走行させれば良いのか』と言うと、これはこれで傷みやすいですが、それでもきちんとメンテナンスをして距離を乗っているのなら、新古車の状態で数年動かさないままだったクルマより、エンジンは良い状態のものが多いです」(春日さん)

 稀に、新車あるいは新古車の状態で数十年眠っていた個体が「デッドストック」として中古車市場に出回ることがありますが、こういったクルマも「ハズレ」なことがあると春日さんは言います。

「よく地方の納屋などから、数十年前に買って1000kmも走っていないクルマが発見されて販売されることがありますが、極端なことを言えば、こういったクルマよりも数万km走っているクルマのほうが状態が良いことが多いです。

 クルマは動かしていないと、ガソリンタンクの中が錆びて腐るし、エンジンの中も定期的にオイルを回していないことでカラカラに乾いていて、エンジンをかけようとした瞬間に焼きつくなんてこともあります。やはりある程度は動かしていないとクルマってダメになるものなんです。どれだけ健康な人であっても、長年運動をしていなかった人が急に運動を始めてアキレス腱切っちゃうみたいなことと同じです」(春日さん)

「日本車の優位性」を過信しすぎると痛い目を見る

 中古車選びをする上で、一般には「走行距離」が大きなポイントであると思う人が多い一方、「走行距離だけでその個体の状態を一概に計ることはできない」というのが現実のようです。「定期的に動かして、適切なメンテナンスをしている2台の中古車があった場合、それはもちろん走行距離が短いほうが状態は良いはずです。でも、一般的には前のオーナーがどんな乗り方をしていたかまではわからないものなので、この辺が中古車選びでは難しいところだとも思います」(春日さん)

 ちなみに、数多くの車種の修理を行ってきた春日さんから見れば、その個体を見て「どれほどのメンテナンスをしてきたクルマなのか」が瞬時にわかると言います。

「乗った瞬間に軋み音が出たりしてわかりますね。消耗品のヘタリ、ボディの立て付けが崩れていたりなど。きちんとメンテナンスしながら乗っていれば、こんな状態にはならないので、すぐにわかります」(春日さん)

 春日さんほどの判断は、一般ユーザーには難しくも思いますが、少し真似をして考えれば、目当ての中古車を選ぶ際、できるだけ多くの個体に試乗し、状態を比較しながら絞り込むのがベストではないかと、筆者(松田義人:ライター・編集者)は思います。

 ところで、春日さんが代表を務める富士自動車工業は、マニアックな外車でも修理を受けてくれるという、ある種の「駆け込み寺」として知る人ぞ知る自動車修理工場です。これまでの数多くの国内外のクルマを診てきた経験から「国産車の信頼性」についても聞いてみました。

「よく『日本車は壊れない』という話がありますよね。トータル的に見れば、確かに壊れにくくはあります。だからこそ逆にきちんとメンテナンスをせず、放ったらかしにして乗り続けている人が多いのも事実です。大型連休などに高速道路でエンコしている国産車をたまに見かけますが、おそらく何もせぬまま乗って出て、それで移動中にいきなり壊れちゃったパターンなんじゃないかと思います。

 確かに世界中の自動車メーカーのクルマに比べ、日本車は優位点が多いです。でも、そこを過信しすぎて点検を怠ると、こんなことが起きてしまうわけです。何も神経質にクルマを管理し続けないとダメだ、ということではないです。定期点検で行うような消耗部品のチェックや交換、オイル交換を定期的にやるなど。そういうことだけでも随分と故障の頻度が減ると思います」(春日さん)

「10万キロで値が付かない」はもったいない?

 きちんとメンテナンスしていたクルマであれば、年数の経った新車あるいは新古車よりもずっと状態が良いことがあると、改めて春日さんは言います。

「まとめると、中古車の走行距離だけでは、そのクルマの状態を計ることはできません。日本では10万kmも走ると、廃車扱いみたいな感じで中古車市場では値が付かないことがありますが、海外の人たちの間では『まだまだ乗れる』と考えるのが普通で、オークションなどでは海外の人たちがこういった個体を買うことがあるようです。

 きちんとメンテナンスされながら10万km以上走った中古車と、それこそ数十年眠っていた新車あるいは新古車とを比べれば、前者のほうがずっと状態が良いケースは多いと思います。クルマは、きちんと扱えればもっと長く乗れるものです。ハイエースで30万km、タクシーで60万km、トラックで100万kmなどの走行距離は当たり前ですが、一般乗用車でもハイエースくらい走れると私は思っています。

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