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自宅で次男の直也さんと暮らす辻英子さん。将来の不安があるという=大阪府吹田市で2025年12月3日午前9時17分、芝村侑美撮影
ほんの10分でいいから、子供より長く生きたい――。ある母親は、障害のある我が子の将来を思うと、そう願ってやまない。
そんなことを考えさせてしまう国で本当にいいのだろうか。切なる願いと共に疑問も浮かんでくる。
次男の行動にアンテナ張る日々
大阪府吹田市の辻英子さん(59)は自閉症のある次男直也さん(30)と夫の3人で暮らしている。直也さんは入浴やトイレ、食事について、昼夜を問わず介助が必要だ。
直也さんの行動には、いつもアンテナを張っていなければならない。自らを傷つけたり、人に攻撃的になったりする「強度行動障害」があるためだ。
今から3年前、辻さんの腰に激痛が走った。医師に診てもらうと「腰椎(ようつい)すべり症」と診断された。痛みが激しく、2カ月間はほぼ寝たきりとなってしまった。
見つからない居場所
辻英子さんは障害がある次男の特性などを書類にまとめている=大阪府吹田市で2025年12月3日午前11時29分、芝村侑美撮影
次男の介護をどうするか。障害者用のショートステイに申し込むと、「急に言われても、重度の人を見る職員がいない」。
受け入れてもらえたのは1泊のみだった。夫と協力してなんとかしのいだが、「自分が動けるうちに、直也の居場所を探さなければ」という危機感に迫られた。
地域社会の中で、少人数の障害者で共同生活していくグループホーム。入居の募集があると聞き、直也さんと行ってみた。
体験入居の3回目で断られてしまった。ホームの職員が直也さんにかまれ、どう相手をしていいのかが分からないと告げられた。
「ホームの募集があっても、結局、専門性がある職員がいないと難しい。地域で暮らそうとしても重度の人ほど受け入れ先がない」
将来への不安、眠れない日も
障害が重い人を受け入れる入所施設に対しては、大阪府内の3カ所に申し込みをしている。どの施設も入所を希望する待機者は100人以上。申し込みから10年を超えているが、希望はかなっていない。
持病を抱えながら次男の直也さんを介護する辻英子さん=大阪府吹田市で2025年12月3日午前9時19分、芝村侑美撮影
辻さんは、腰椎の病気で今も通院が欠かせない。痛みと闘いながら日々の介護をこなしていく。直也さんのために少しでもお金を残したいと、2年前には家賃が安い公営住宅に引っ越した。
「自分がしっかりしないと」。抱える不安に気づかないふりをしているが、眠れない夜もある。「直也を一人残して死んだらどうしよう」
障害者が安住できる場所は、自宅以外にはないのか。辻さんは「行政にはこの現実を見てほしい」と訴える。
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