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乾燥が続く季節になると、「唇がひび割れて痛い」「皮がむけてしまう」といった悩みが増えてきます。見た目の問題だけでなく、食事や会話のたびに刺激を感じることもあり、日常生活にも影響を及ぼします。実はその悪化の背景には、何気ない習慣や誤ったケア方法が隠れていることがあります。
先日、唇の荒れを訴えて来院した20代女性のケースでは、唇全体が赤く腫れぼったくなり、一部には亀裂が入っていました。乾燥を感じたため、市販のリップクリームを1日に何度も強く押し当てるように塗っていたほか、むけた皮を指で取り、その後なめる癖もあったといいます。
唇は皮膚と粘膜の境目にある特殊な部位です。皮脂腺や汗腺がなく、水分を保つ力が弱いため、もともと乾燥しやすい特徴があります。さらに冬場は冷たい風、夏場は紫外線の影響を受けやすく、外的刺激にさらされがちです。その状態でこすったり、なめたりすると、バリア機能がさらに低下し、荒れが進行してしまいます。
特に注意したいのが次の二つです。ひとつは「唇をなめること」。一時的に潤ったように感じますが、唾液が蒸発する際に水分まで奪われ、かえって乾燥を強めてしまいます。もうひとつは「むけた皮を無理に取ること」。傷がつきやすくなり、ひび割れや硬いかさぶたの原因になります。浮いている部分が気になる場合は、小さなハサミなどで表面だけを整えるようにしましょう。
保湿は基本ですが、塗り方も重要です。スティックタイプのリップクリームを強く押し付けると摩擦が刺激になります。やさしく滑らせるか、ワセリンやオイルを綿棒に取り、唇にのせるように塗布するのが理想的です。荒れが目立つときは、食事前に薄く塗って保護膜をつくると刺激を軽減できます。食後はオイルを含ませたコットンでやさしく汚れを拭き取り、再度保湿を行います。
洗顔や歯磨きの際も油断は禁物です。洗顔料の泡は唇に長く触れさせず、周囲を軽くなでる程度にとどめます。歯磨き粉の成分が刺激になる場合もあるため、歯磨き前に保湿剤で唇を保護し、磨いた後も塗り直す習慣をつけましょう。刺激が気になる人は、香料や塩分の少ないタイプを選ぶのも一案です。
メイク時も同様です。口紅を直接塗る前に保湿しておくと、仕上がりも整いやすくなります。ワセリンと口紅を少量混ぜ、綿棒でのせる方法も負担が少なくおすすめです。
正しいケアを続けても改善しない場合は、別の皮膚トラブルが隠れている可能性もあります。長引く荒れや強い痛みがあるときは、専門医に相談することも検討しましょう。
唇は繊細なパーツだからこそ、やさしい扱いが大切です。なめない、むかない、こすらない。この基本を守るだけでも、乾燥シーズンのトラブルは大きく減らせます。日々の小さな習慣を見直し、潤いのある健やかな唇を保ちたいものです。
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